[Metabolism of organotin compounds in rats after a single oral administration of diphenyltin or dibutyltin compounds].

主に,農 薬あるいは船底や漁網の防汚塗料などとして 用 いられてきた トリフ ェニル錫や トリブ チ ル 錫化合物 は,そ の毒性が問題 とな り近 年,「化学物質の審査及び 製造等の規制に関する法律」に基づ き指定化学物質 とさ れ1),そ の使用や製造などが大幅に制限されてきた.しか しなが ら,そ れ らの環境汚染は まだみ られて い る2).ま た他国においては職業性 の中毒例 も報告 されている3). われわれは,そ れ らの生体影響や生体内挙動の解明を目 的 とし微量測定法の確立,さ らにそれを基に生体中での 代謝な どについて報告 して きた4,5).これ まで有機錫化 合物の代謝 についての報告は主に トリ体 に関するものが 多 く,そ れ らに比べ,ジ 体についての情報は少 な い6). そ こで本研究では,ト リフェニル錫 の代謝産物の一つで あるジフ ェニル錫化合物,お よび トリブチル錫の代謝産 物 の一つであるジブチル錫化合物の1回 経 口投与 ラッ ト 肝臓中濃度変化 について経時的に検討 した. 方 法 二塩 化 ジ フ ェニル錫44.6mgお よ び二 塩 化 ジ ブチ ル 錫39.4mgを そ れ ぞれ 胡麻 油 に 懸 濁 させ10ml(錫 と して15.4mg/10ml)と し, 1群4匹 のWistar系 雄 ラ ッ ト(体 重180~220g)に 対 し20~24h絶 食後,体 重 100gあ た り1mlの 割 合 で1回 経 口投 与 した.投 与 後 6, 24, 48, 72hご とに1群 ずつ経 時 的 に エ ーテ ル麻 酔下